訴  状     00地方裁判所00支部 民事部 御中                                 平成19年00月00日    郵便番号 000−0000 (送達場所)    00県000市00町000−1    電話番号 000−0000−0000    原 告  塞翁 が馬    郵便番号 100−0004    東京都千代田区大手町1丁目2番4号    電話番号 03−3287−1515    被 告  プロミス株式会社    上記代表者代表取締役  神内 博喜    事件名 不当利得金返還請求事件    訴訟物の価額   金000万0000円    貼用印紙額       0万0000円                  請 求 の 趣 旨    1,被告は原告に対し,金000万0000円及びこれに対する平成19年0月      00日から支払い済みまで年5%の割合による金員を支払え。    2,訴訟費用は被告の負担とする。    3,この判決は仮執行することができる。との判決を求める。                 請 求 の 原 因    1,当事者の表示    被告は,全国に支店を持ち,原告のような消費者に対し貸付を行う,財務局登録の    貸金業者である。    原告は,会社に勤務する一般人である。    2,原被告との取引    原告は,被告,プロミス株式会社との間に,遅くとも平成0年00月00日に金銭    消費貸借契約を締結し原告は取引履歴(甲第一号証)のとおり金銭を借入れ,平成    19年0月00日に至るまで,借入れ,弁済を繰り返してきた。    3,被告の不当利得    原告と被告との間の上記金銭消費貸借取引について定められた利率は,利息制限法    所定の上限利率を上回るものであり,当該取引を利息制限法所定の上限利率によっ    て再計算し(別紙,利息制限法による計算書)その際,原告が被告に対して弁済した    金員について,利息制限法1条1項所定の制限利率を超える部分を元本に充当し, 過払金が発生した場合には,その発生日の当日から次の取引きの前日までの間,民 事法定利率である年5分の割合による利息を付け,過払金及びその利息が発生して いる時点で新たな借入れがあった場合には過払金及びその利息をこの新たな借入れ の弁済に充当するものとして計算すると借入元金を完済しているばかりか,金00 0万0000円の過払いを生じている。同過払金は債務が存在しないのに,原告は それを全く知らず支払われた金員であり,被告は法律上の原因なくして同額の利得 を得た事になる。    4,悪意の受益者    被告は貸金業者であるから,利息制限法による引き直し計算をすれば過払いになる    ことを当然承知しており,原告から弁済を受ける際,これを知りながら,原告から    の弁済を受けてきたのであるから,悪意の受益者として其の受けたる利益に利息を    附して返還する義務を負う。    また不当利得返還請求権は民事債権であり,本件取引に係る弁済のうち利息制限法    所定の制限を超えて支払われた利息に関する不当利得返還請求権について民法40    4条が適用される。    そして被告は前記のとおり過払金の発生当初から民法704条所定の悪意の受益者    であったのであるから,各過払金に対してその発生当日から民事法定利率である年    5%の割合による利息を支払う義務が生じる。    民法704条の悪意とは,受益者が法律上の原因のないことを知り,もしくは知り    得るべき状況の下で受益したことを言う。    貸金業の登録業者であれば,過払金の発生については,原則的に悪意と言ってよい。    すなわち,被告は貸金業の登録業者として,原告と包括的消費貸借契約を締結する    に際し原告から弁済を受ける利息,損害金が利息制限法の法定利率を超えているこ    とを認識し,かつその後なされた取引も取引履歴のとおり貸付けと弁済が行われた    ことを把握している。かかる認識からすれば,被告は原告が借入と返済を繰り返す    うちにいずれ過払の状態になることを認識していたことは明白である。    貸金業者が単にその独断に基づいてみなし弁済が成立すると判断していただけでは    善意と言うことはできない。    すなわち,貸金業規制法43条の要件事実を充足するような適法な要件を具備した    書面を原告に交付し,その書面の写しを保管し,訴訟において疎明できるほどに整    えていない限り善意と言えない。    一般に不当利得者がその利得にかかる法律上の原因の不存在を基礎づける事実につ    き,これを認識している場合には当然に「悪意の受益者」となるのであって法令の    存在を知らなかったり,誤った法解釈に基づいて法律上の原因があるものと誤解し    ていたりしたとしても,そのことは結論に影響を及ぼさない。    以上を前提として,本件金銭消費貸借の取引経過について民事法定利率にしたがっ    て過払金に対する未払利息を計算すると平成19年0月00日の時点で,金00万    000円の未払利息が発生している。    5.原告の主張    原告は,被告に対し原告と被告との間に存在した,全ての取引履歴を開示するよう    求めた。これに対し,被告は全ての取引履歴を開示せず(取引履歴のうち平成0年0    0月00日以降のもの「甲第一号証」を開示)その開示した履歴以前の履歴を開示    しないため,原告は自己の債務の見直しに困窮する事になった。    被告の取引履歴の保存,及び開示に関する対応は,全国に多数の支店を持つ,財務    局登録の金融業者の対応としては,貸金業規制法同施行規則第17条1項,及び商法    19条3項の規定する保存期間に基づいても,およそ考えがたいものであり違法性を    有している。 ところで,被告は,貸金業の規制等に関する法律に定められた登録を受けた貸金業    者であり,同法に定められた規制を受けるものである。    貸金業登録業者が,貸金業規制法同施行規則第17条1項,及び貸金業規制法19条の規    定に違反して業務帳簿を備え付けず,業務帳簿に前記記載事項を記載せず,若しく は虚偽の記載をし,又は業務帳簿を保存しなかった場合については,罰則が設けら れている。(同法49条7号。貸金業規制法施行時には同条4号) 以上のような貸金業規制法の趣旨に加えて,    原告は過払金の金額を正確に把握できずに,大きな不利益を被る可能性があるのに 対して貸金業者が保存している業務帳簿に基づいて債務内容を開示することは容易 であり,貸金業者に特段の負担は生じないことに鑑みると,貸金業者は,債務者か ら取引履歴の開示を求められた場合には,その開示要求が濫用にわたると認められ るなど特段の事情のない限り,貸金業規制法の適用を受ける金銭消費貸借契約の付 随義務として,信義則上,保存している業務帳簿(保存期間を経過して保存してい るものを含む)に基づいて全ての取引履歴を開示すべき義務を負うものというべき である。    そして,貸金業者がこの義務に違反して取引履歴の開示を拒絶したときは,    「最高裁平成17年7月19日判決」に基づき,その行為は,違法性を有し,不法行為 を構成している為,厳重に処罰されるべきものである。    なお本件において,被告が原告の全取引履歴を有していないことに,特段の事情は ない。    また,取引期間が長期間であるほど過払金額も高額になるのが通常であるところ, 被告から取引履歴に関する資料が提出されなければ,正確な過払金額を算定するこ とが不可能となり,結果として,貸金業者にとって有利になる場合が多いものと解 される。    原告と被告との間の平成0年00月00日以降の金銭消費貸借取引の貸付年月日, 貸付金額,返済年月日,及び返済額については,取引履歴(甲第一号証)のとおり であるが,平成0年00月00日以前の取引履歴については,被告が開示に応じな いため現段階では,当該期日以前の取引については,残高を無視して計算した。    原告は,現段階では,残高無視計算でしか算定方法が無いのであるが,被告より平 成0年00月00日以前の具体的な貸付残高と,その貸付残高に至る取引履歴の 主張・立証があれば,再度利息制限法所定の上限利率によって引き直し計算し, 正確な金員に訴えを変更する。    以上を前提として,原告は被告に対し,不当利得返還請求権に基づき,金000万 0000円及びその過払金に対する民事法定利率である年5%の割合による未払利 息金00万000円の合計である金000万0000円,並びに金000万000 0円に対する平成19年0月00日から支払い済みに至るまでの民事法定利息であ る,年5%の割合による利息の支払いを求める。    証 拠 方 法    書証     甲第一号証     計算書(被告作成)    付属書類    1 訴状副本        1通    2 代表者事項証明書    1通    3 甲号証写し       1通                                                                    以上